デッドストック工務店

DEAD STOCKS NEVER DIE

ABOUT

DEAD STOCKS NEVER DIE

「ゴミも磨けば光るよね♪」を合言葉に、産業廃棄物やありもので空間をつくる建築ユニット。
全国各地の工務店や職人、デザイナーやアーティストにより、不定期にて構成される幻の工務店。

愛好会的工務店


工務店というと組織立ったひとつの会社をイメージすると思う。が、僕たちには実態がない。構成するメンバーは、全国の各地域で活動する工務店や職人、デザイナーやアーティストたち。おもしろい話のたびに声を掛け合い、本業の合間に集い、共につくっては去っていく。誰からの指示も強制も上下関係もない、けれども強い絆と日々の活力がうまれる不思議な集まり。そう、僕たちは草野球チームのような、愛好会的工務店なのだ。


プロが遊ぶ

当然ながら、僕たちは日々の本業ではクライアントのために仕事をしている。プロとして、その求めに対し、それ以上の成果物を提供しようとする。つくることは楽しい。ただ一方で、自分がつくらされていると感じる時がある。本当になんのしがらみもなく、自分の能力を全て出し切れる環境は、供給者側でもなかなかあるものではない。もし、小学校の自由研究のように課題の設定が自由で、何の制約もない環境に身を置いた時、僕たちはプロとしてどこまでこれまでの経験と技術を解放できるのだろう。この活動は、自分のまだ見ぬ創造性に期待を込めた、腕試しの場にもなっている。


ゴミでつくる

建材、特に日本のそれは非常によくできている。ただそれは、つくり手にとって非常に扱いのしやすいものとして過剰に進化している部分もある。無意識的に過剰に供給される便利によって、創造性と本質が失われていくことを僕たちは非常に恐れている。対して、ゴミでつくる建築はとても刺激的だ。そこにはカタログも、施工法も専用工具も、値段も仕入れルートも納期も存在しない。頼りになるのは自分の意思と感覚だけだ。しかも、誰もが不要なものとして捨て置かれたものに光を見出し、それを必要なものと評価された時の快感は、つくり手にとってこの上ないものがある。モノにも然るべき、あるべき場所がある。それはゴミですら。適材適所という建築由来の言葉が端的に物語っている。



偶然をつくる

ものづくりの多くは計画的に行われていく。雑貨だろうが都市だろうが、ある種の計画に基づき、しかるべきステップでつくられていく。建築も同様、成果物たる建物の計画が図面や仕様書、工程表といった資料に落とし込まれ、段取りの上でつくられていく。当然ながら、計画に基づいたものは計画以上のものを生み出すことは難しく、逆に自然発生的に生まれるもの力強さの魅力を感じることは多々ある。僕たちは、日常の仕事でしている段取りを、この活動においてはしていない。その場の環境、ありものの素材、限られた時間と道具、その時のメンバーによって、結果として生み出される産物を楽しんでいる。それはまさにジャズのセッションのように非常に工作的で、突然変異的な魅力に富んでいる。



環境をあそぶ

「きつい/汚い/危険」の現場3Kが象徴するように、建設業は厳しい職業だと言われている。単に仕事や作業という側面から見ると確かにそうかもしれない。ただ、ものづくりの創造性という側面からは、こんなに刺激的な環境はないと思っている。本来とても原始的で本質的なこの建築という生産行為は、工夫という環境適用能力が問われる点がおもしろい。情報や物流や技術が進化した今では気付き難い、その土地の気候や素材を考慮した上でのこの生産行為は、農業に近くもあり、工夫の尽きることがない。どんなに過酷な環境きつい状況も、工夫をしながら乗りこなせるようになるのが最高に楽しいのだ。

TEXT:一杉伊織
MEMBER

一杉伊織 by toolbox
大橋一隆 by OpenA
出水建大 by 建大工房
高藤宏夫 by コモン建築事務所
新屋祐一 by STYLE HOUSE
迫田琢磨 by SOTO-CUL
工藤文紀 by 塗りlabo+
松本憲 by new&s
鈴木裕矢 by 浜松PPPデザイン
加藤渓一 by studiaPEACEsign
坂田裕貴 by cacco design studia
荒木伸哉 by サノウル製作所
関根将吾 by SKETCH
内田裕規 by ヒュージ
福井信行 by ROOVICE
Seungmin Lee by リノベリング
And more…